ノクシカタ 2006.11.03 |
「ノクシカタ」ご存知の方も多いと思いますが...
ボロボロになった古いサリーを重ね、同色の糸で細かく刺し子して、刺しゅうを施し、小物や赤ちゃんのおくるみ、冬用の布団などに再生する、そんな「もったいない」の代表のようなバングラデシュの伝統手芸です。昔から女性、お母さんの家族への想いを込めて作られていたものがバングラデシュ独立(1971年)以降、貧しい女性の収入向上のための仕事になりました。ムハマド・ユヌス氏(バングラデシュの経済学者)...そんなバングラデェシュの女性達の自助努力を促すための「グラミン銀行」運営などで今年2006年のノーベル平和賞を受賞されました。ノーベル賞の話題でノクシカタのことを思い出し、引き出しをひっくり返して何年ぶりに出してみたのが、画像のノクシカタです。これを買った当時はノクシカタという言葉もフェアトレード、もちろんグラミン銀行のことなど何も知りませんでしたが、お店にかかっているのを見た時、デザインの完成度の高さと手刺しゅうの細かさ、丁寧さ、色使い、分量の素晴らしさに惹かれ、恐る恐る値段を聞くと、なんとランチ一回分ぐらいの価格で0がひとつかふたつ間違っているのではと何度も聞きなおし、申し訳ないような気持ちで買いました。
ベルギーのブールージュでレースを探しても、とても手の出る価格ではなく、ため息ばかりでしたが、もちろんボビンレースと刺しゅうの違いや材料、作られる過程、お国事情などいろいろあるでしょう。買う方の好みもあるので、比較できないのですが、私にはこのノクシカタも手芸品というよりは美術品に見えてしかたありません。
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ノクシカタで表現されている模様にはそれぞれ意味や想いがあるそうですが、四隅に配置されているのは「生命の樹」です。古代オリエントではナツメヤシ、ギリシャ、エジプトでは蒲陶の樹、イスラムでは糸杉、インドでは菩提樹や沙羅双樹、中国では桑の木、日本では松の木、というように生命の樹は世界共通のデザイン源泉です。能舞台の松の木も一種の生命の樹だそうです。
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裏面です。
サイズ
85cm角
刺しゅう内径70cm
真ん中の花?4cm
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